2013年4月30日火曜日

名画座

昔は至るところに名画座と呼ばれる映画館があった。

古い秀作を安く提供するのである。

おかげで「ローマの休日」はもう何十回見ただろう。

学生時代に東銀座にあった「銀座ロキシー」に毎日のように通ったものだ。

一日過ごした。

ヘップバーンの美しいことといったらなかった。

グレゴリーペックもまたかっこいいを過ぎている。

モノクロのフィルムだが、美しい映像。胸を締め付けられながらスクリーンを眺めていた。

昔はこんな名画がたくさんあった。

「地上(ここ)より永久に」もそうだ。「誰がために鐘は鳴る」もそうだ。「街の灯」などは、あの「あなたでしたの・・・・?」というラストシーンを思い出しただけで切なくなる。

田舎から出てきたさみしさもどこかにあったのかもしれない。

とにかく映画づけになった時期だった。

ロードショーははしごした。

映画雑誌は買いまくった。

ラジオの論文懸賞に応募して佳作を得た。

今でも覚えているが「エレファントマンはなぜヒットしたか」という論文テーマだった。

ラジオで名前が呼ばれたときは小躍りした。

映画会社に入ろうかと真剣に思った。

映画好きの血が今息子に継がれている。

その息子の書いた映画評論を読んでみた。

我が子だと思った。

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