初めて食した時、世の中にこんなにうまいものがあるのかと思った。
「トラジ」という店名も覚えている。
何杯もごはんをおかわりした。いくらでも入る気がしたものだ。
親父が死ぬ前に病床でこういった。「看病で疲れている母さんを焼肉屋に連れて行ってくれ」。
初めて連れて行ってもらったその店に何十年ぶりに行った。
二人とも食が進まなかった。美味しかったがあの時のような感動も何もなかった。
今は、焼肉も上品になった。あの頃は焼くだけだったが、今や様々な周辺料理ができている。
焼き器具も進化しており油の強いホルモンを焼いても全く煙がたたない。
あれは焼肉屋ではないのかもしれない。
「焼肉という料理」を食わせるレストランと言った方がよさそうである。むかしはデザートなどなかった。
「焼肉という料理」を食わせるレストランと言った方がよさそうである。むかしはデザートなどなかった。
今は必ずアイスクリームやシャーベットがある。
それだけ女子供が普通に食べられる身近な料理になったということだろう。
上品さは悪くはないが、やはり大阪の鶴橋のような煙の世界がいとおしいのである。
焼肉を嫌いだという人を聞いたことがないくらい、完全に日本人の食生活に根付いた韓国料理「焼肉」。
あのステーキとはまた違う味の深みが日本人の舌が持つDNAをとらえて離さないのだろう。
0 件のコメント:
コメントを投稿